Long-term care policy

日本では、政策上、介護を受ける側にフォーカスが当てられがちであり、「介護をする人=介護者」は見落とされがちでした。例えば、介護保険の制度上、デイケアやショートステイのようなレスパイトケアは存在するものの、介護者に対する所得保障や免税などのfinancial benefitはありませ。その中でも、介護者にフォーカスが当てられるときは、その労働市場への影響、すなわち介護離職には注意が払われることはありますが、健康、特に身体的健康にどのような影響があるかは不明でした。


Impact of long‐hours family caregiving on non‐fatal coronary heart disease risk in middle‐aged people: Results from a longitudinal nationwide survey in Japan. (長時間介護と心イベント)

Informal caregiving and mortality―Who is protected and who is not? A prospective cohort study from Japan.  (介護者の死亡リスク)

上記2つの研究で私達はその問いに答えようとしました。日本全国の中高年の代表的サンプルを対象とした分析では、長時間介護は特に女性において心血管イベントの発症と関連していました。また、群馬県の2自治体で行ったコホート調査では、介護者の死亡リスクは非介護者と変わりませんでしたが、低所得の介護者では、死亡リスクが高いことがわかりました。

他にも

介護サービスの利用が死亡場所に与える影響の分析

介護保険の2006年改正が介護者の健康に与えた影響

介護保険の自己負担増加が介護サービス利用に与えた影響

について分析しています。


(Misc)

Social Science Research Councilやハーバード大学エドウィン・O・ライシャワー日本研究所主催の Abe Global 2022にてパネリストを務めました。、日本のAgingにおける介護者の疫学研究の紹介をしました(https://www.youtube.com/watch?v=jBsJqgU1G2U&t=4254s