Less is more

健康増進効果のない医療サービス(=low value care)は、削減の努力にも関わらず、医療現場でなお広く提供されている。医療の質の向上と医療制度の持続可能性を両立するには、low value careを包括的に分析し、「患者アウトカムを悪化させずにどれだけ医療サービスを削減できる可能性があるか」という問いに答えることが不可欠となる。 


Miyawaki A., Ikesu, R., Tokuda, Y., Goto, R., Kobayashi, Y., Sano, K., & Tsugawa, Y. (2022) Prevalence and Changes of Low-Value Care at Acute Care Hospitals: A Multi-Center Observational Study in Japan. BMJ Open. 12(9):e063171.

この研究では、33項目のclaims dataで定量化可能なlow valie careのリストを作成した。その上で、242の急性期病院の入院・外来患者を分析し、low value careのエピソードが患者1000人あたり115回〜/年発生し、その医療費は少なくとも57億円/年であることを示した。


※本パイロット研究で、使ったlow value careのリストは、こちらのSupp Table 2–3。


Miyawaki, A.*, Kitajima, K., Iwata, A., Sato, D., & Tsugawa, Y. (2023) Antibiotic Prescription for Outpatients with COVID-19 in Primary Care Settings in Japan. JAMA Network Open. In Press. 

どのような医師がlow value careをより提供するのだろうか?それを明らかにすることはlow value careが提供されるメカニズムを紐解く鍵になるはずである。この研究では、COVID-19に対する抗生剤処方(=low value careの1つ)の頻度が高齢の医師ほど高かったことを報告した